2.1. ポートフォリオとは?

ポートフォリオとは

 前章で紹介した構成主義または社会的構成主義の考えに基づいて,学習においては真性な学習を,評価においては真正な評価を行うためのツールとしてポートフォリオが活用できる.

 教育におけるポートフォリオは次のように説明できる.

 『学習,スキル,実績を実証するための成果(work)を,ある目的のもと,組織化/構造化しまとめた収集物』

 ポートフォリオ開発のプロセスと,継続的なリフレクションの重要性を強調している.

Jones, M., and Shelton, M.: "Developing Your Portfolio: Enhancing Your Learning and Showing Your Stuff", Routledge (2006)

ポートフォリオの具体例

 ポートフォリオに収集する学習の成果物としては,例えば以下のようなものが挙げられる.

ノート 大福帳 プリント メモ ファイル

何処に学びがあるのか

「真性な学習・真正な評価」では

「評価」自体が「学習」そのものである.

 例えば,学生は作成したレポートを自分で読み直して評価する事により,自分のレポートの良い点や改善の余地がある点,自分が理解できている事とそうでない事などを見つける. そして自分がどう行動すれば改善できるかを考える事ができる.もしくは,大福帳のような授業の振り返りの感想を見直す事で,これまでの授業にどのように取り組んできたのかを振り返り,そうして発見したこと今後の取り組みに活す事ができる.

 このように自分を客観的に捉えることを「メタ認知」という.ただ教えられるばかりではなくて,自分で評価を行う事でメタ認知し,理解を深めたり,興味や疑問を発見したりすることが学習を更に深める.

ポートフォリオを活用した学習と評価

 ポートフォリオを用いることで,学生はそれまで行ってきた学習を振り返る事ができる.ポートフォリオを活用した学習では振り返ったり評価する事により,リフレクションが誘発され,学習が生起される.したがってポートフォリオは溜めることが目的ではない.課題の作品やレポートを作成してポートフォリオとして収集した後で,それを評価する事を学習の活動に含める事が大切である.

ポイント